東京科学大学(以下,本学)は,卓越した学知をもとにした社会との好循環の実現を経営ビジョンとし,その源泉となる研究を推進してきた。特に本学が持つ研究基盤(機器,人財,運用システム)の強化は最重要課題として,技術職員の集約化を始め様々な取組みを進めてきた。本学では教員が,大型プロジェクトで導入し提供している共用設備が多い。しかも,多くは教員グループの自助努力により,経費も含め何とか運用できているため,教員の負担や老朽化などの問題点の把握が,難しくなっている。これが経営戦略上,大きな課題である。技術職員については,優秀な技術職員を教員・研究者の研究推進のパートナーとして活用しきれていないという課題がある。
こうした課題解決のため,本学は「国立大学経営改革促進事業」の中でオープンファシリティセンター(以下,OFC)を提案し,2020年4月に設置された。これは本学の経営・教育・研究戦略に基づき全学の研究基盤を統括し,設備共用を中心とした最高水準の研究支援を提供する,まさに本学のコアファシリティとなる組織である。このOFCを中心に,「Ⅰ.本学の設備共用の統合管理」と,「Ⅱ.研究基盤に関する高度専門人材の認定と養成」を進めている。
この中で、「Ⅰ.設備統合管理」では,(i) 設備共用推進体(部局下の設備共用をOFC傘下に取り込む制度)制度の導入と推進,(ii) 設備の集約化,(iii) 統合設備共用システムの構築を進める。統合設備共用システムは設備照会・予約・課金の他に,研究基盤戦略策定のための分析(研究基盤IR)機能も持たせる。それにより,本学で更新・購入すべき大型設備が明確になり,本学が目指しているエビデンスに基づく設備経営が可能となる。
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